- 開催
場所 - エソラ
- 開催
時間 - 10:00~17:00
- 期間
- リノベーション実邸『無為庵』
イベント内容
CONCEPT 無為庵(むいあん)~リノベで実現する自然と共に生きる暮らし~
無為庵(むいあん)の名前は、老子や荘子の思想「無為自然」に由来し、「人の手を加えず、あるがままに任せる」という意味を持ちます。実はこの名前は、義理の実家にある8畳ほどの囲炉裏小屋からもらいました。トタン張りの素朴な掘っ立て小屋には土間と囲炉裏があり、昔は近所の人や教え子と酒を酌み交わす場だったそうです。囲炉裏や自然に囲まれた暮らしへの憧れは、人間の根源的な欲求ともいえると思います。
現代の家づくりは性能や機能を重視しますが、我々はそれだけでは本当の豊かさは得られないと考えています。今回の計画では、安全性を確保しつつ、自然との共生をテーマにしたリノベーションを行いました。本物件は新築も可能でしたが、環境負荷軽減と持続可能な暮らしを目指してあえてリノベーションを選択しました。
土地は市街化調整区域に位置し、既存の庭樹が生い茂る環境でした。必要な樹木を残しつつ開墾を進め、間取りは既存の構造を活かしながら、庭や景色を楽しめる設計としました。31.5坪ながら、家中に多様な居場所があり、どの場所からも自然を感じられます。
性能面では、基礎補強や耐震性を既存の約4倍(評点2.03)、断熱性を約10倍(UA値0.27)に向上させ、新築以上の性能を実現。また、南面に大きな掃き出し窓を設けて日射取得を最大化し、7.74kWの太陽光パネルでエネルギー自給を目指しました。西側の山並みを楽しむため、開放的な窓を設け、暖房には調理も可能な小型薪ストーブを設置。庭は地元の富士山の溶岩石を利用し、既存樹木を活かしながら畑も楽しめる場としました。
完成した無為庵は、安全で快適な住まいでありながら、自然と共に生きる豊かな暮らしを実現する場となりました。
築50年の家が蘇る
BEFORE
庭が鬱蒼として全体像が見えない状態でした。
かろうじて北面から平屋の様子が伺えました。
内部は前の住まい手さんがDIYでリフォームを行った様子が見られました。
50年前はこういった間取りがよくありました。和室の続き間。
北面の個室
東面の個室
施工中
耐力壁を整理し、必要最低限の補強となるよう抱かせ基礎を施工しました。
制作金物による抱かせ基礎との一体化
大引き 根太間の床断熱施工
外壁付加断熱施工
外壁面材施工
水平構面の補強
AFTER
ダイニングやキッチンからは、敷地西側に広がる雄大な山並みが眺望できます。
内壁はあえて全面グレーとし、洞穴のような落ち着ける空間を目指しました。
玄関横には書斎を設け、ワークスペースや書斎として利用、既存の梅や楓の木も見えます。
リビングには小型のクッキング薪ストーブも設置。
高断熱ながらも火のある暮らしや、料理を楽しめる空間にしました。
庭には雑木を植え、庭で過ごす楽しみが味わえるデッキをしつらえました。
キッチン前には畑や、果樹を植え育てる予定。
間取り ~平屋|約31坪|3LDK+ワークスペース~
BEFORE
既存の間取りは二間続きの和室と居間、食堂のあるこの時代では一般的なプランでした。
AFTER
南に面した場所にLDKを配し、南、西の眺望と日射を最大限生かせる計画としました。
また、リビング部分はダウンリビング 造作ソファをしつらえて大きな空間の中でも落ち着く空間となるようにしました。
また、南面のサッシには大開口の引き込みサッシを使用し、外とのつながりを感じられるように工夫しました。
併せて南面の一部には薪ストーブスペースも設置し、陽のある暮らしも楽しめるようになっています。
玄関横にはあえて客間や書斎、子供室の延長、ワークスペースとしても使用できるマルチな図書コーナーを設置し、限られた空間の中でもいろんな居場所を見つけられるようにしています。
水回りについては北面に集約し、洗面を廊下の一部としながら、中央にあるファミリークローゼットにも収納をしやすく、回遊できる動線計画としています。
物件概要
敷地面積:531.89㎡(160.90坪)
延床面積:104.34㎡(31.57坪)
構造:木造在来軸組工法
既存建築年:1974年(築51年)
改修竣工年月:2024年11月
断熱性能:〈UA値〉改修前:2.74w/㎡・K ➡ 改修後:0.27w/㎡・K(改修前の約10倍に向上!)
上部構造評点:改修前:0.53 ➡ 改修後:2.03